平成25年度~平成27年度
平成24年度総務省補正予算、平成26-平成27年度総務省電波利用料案件のなかで、東北大学担当部分として大森代表理事は、東北大学産学官連携研究員として以下の内容の研究を実施。
通信品質解析装置(通信回線品質エミュレータ)による通信アプリケーションの品質評価
MIMO中継通信ネットワークは、UA中継局が移動し、かつ通信路が動的に変動し、接続される通信システムの切換えが起き、IP層のネットワーク状態が動的に変動する。 しかし、既存ネットワークは、通信中にこのような動的な通信ネットワーク(Wi-Fi,からWiMAXの切換えなど)の変更を想定していない。さらに、既存の通信アプリケーションは、良好な回線状での利用を想定し、災害時の劣悪な回線状態での利用を評価していない。
このため、既存のネットワークを用いて、通信ネットワーク用のアプリケーション技術を評価することは困難である。 特に、通信ネットワークの切換え瞬断が原因となり通信が切断された場合でも、端末側(LAN)の無線IPネットワークが機能していると、アプリケーション側では接続していると誤認識する既存アプリケーション技術は非常に多く、このようなケースを克服するアプリケーション基礎技術を開発することは極めて重要である。しかしながら、このような基礎技術を評価することは、上記の理由から非常に困難である。
これらの問題を克服して通信アプリケーションの品質評価を行うことができるよう、ネットワーク・ステータス解析装置を開発し、本装置を用いて、現在市場で多く利用されている代表的な通信アプリケーションについて、災害時の通信環境が劣悪な条件下での通信品質について評価することとした。
ネットワーク・ステータス解析装置の機能を図4-3-3-2-5-1に示す。実環境のネットワークは、そのパラメータは時々刻々と変化しており、部分的にそのパラメータを変化することは極めて困難であり、かつ再現性がない。一方、現実の通信アプリケーションは当然現実のネットワーク環境を利用し、多くのアプリケーションはインターネット上におかれたサーバを利用するものが多い。したがって、通信アプリケーションの評価には実際の通信環境であるインターネットを使う必要があるため、ネットワーク・ステータス解析装置はインターネットに接続して利用する。この時、インターネット環境の品質は十分に高品質で安定していると仮定し、ネットワーク・ステータス解析装置により模擬的にインターネット環境を変化させている。