WPMC2019の準備会合がホスト機関であるリスボンのISCTE-IULで開催されました。

 

 リスボン市の南を流れるテージョ川(Rio Tejo)に面したコメルシオ広場

WPMC2019のAward Banquetはこの広場に面したレストラン(右手奥)で開催予定。

左から大森(YRP研究開発推進協会副会長)、浜口(NICTワイヤレスネットワーク総合研究センター長)、Professor Ramjee Prasad (Aahus Univertsity)、須藤(NICTワイヤレスネットワーク総合研究センター)、Professor Fernando Jose Da Silva Velez (Instituto de Telecomunicacoes)

 

2019.07.03-04
WPMC2019は、11月24日から4日間の日程でリスボンで開催されます。
 今回の、WPMC2019実行委員会との議論内容は、WPMC2018で作成が決定したWPMC開催ガイドラインに従って、開催前、会期中および開催後の作業に分けて、プログラムの構成からオープニングでの基調講演者、招待講演者、Welcome Reception、Award Banguet、開催後の財務処理、IEEE Xploreへの掲載など多岐にわたり、会場の下見を含め3日朝9時から4日午前中までの日程となりました。

 

 本報告では、以下のような点についてご紹介します。

  • 準備会合の様子
  • リスボンへの日本から渡航方法と入国VISAなど
  • WPMC2019会場、ホテルなど
  • ホスト機関であるISCTE-IULとitの紹介
  • ポルトガルの歴史一口メモ
  • 歴史的観光スポット

  準備会合での議論の結果については、順次WPMC2019の公式WEBで掲載される予定です。


準備会合の様子


 準備会合は、開催会場となる大学であるISCTE-IUL (Instituto Superior de Ciências do Trabalho e da Empresa-Instituto Universitário de Lisboa/(英文=Superior Institute of Business and Labour Sciences-Institute University of Lisbon)で行われました。

 会合参加者は、以下のようにWPMC運営委員側4名、WPMC2019実行委員会側6名です。WPMC運営員会Professor Peter Lindgren (Aarhus University)も参加予定でしたが、航空機の大幅遅延のため欠席となりました。

 開催機関のメンバーは、情報通信関連の国内大学を連携機関を連携するInstituto de Telecomunicaçõesと呼ばれる公的研究開発機関と連携しているポルトガル国内の大学の教授方です

WPMC運営委員会側

1.大森慎吾 WPMC運営委員会共同議長、YRP研究開発推進協会副会長、YRP国際連携研究所代表理事
2.浜口清  国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)ワイヤレスネットワーク総合研究センター長
3.須藤美優希 同横須賀管理グループ
4. Professor Ramjee Prasad (Aarhus University)

WPMC2019実行委員会側
5. Professor Fernando Jose Da Silva Velez, Instituto de Telecomunicacoes
6. Professor Perdo Sebastiao, ISCTE-IUL
7. Professor Antonio Jose C. B. Rodrigues, Instituto Superior Tecnico
8. Professor Marcelino Pousa, Diretor Geral Institute de Telecomunicacoes
9. Professor Luis Bernardo, Nova University of Lisbon
10. Professor Francisco Cercas, ISCTE-IUL

WPMC2019事前打合せの様子と参加メンバー

左から、10、7、11、5、6、8、4、1、2、3(撮影者)

リスボンへはどう行くの?


【リスボンへの航空便】

 日本からは、リスボンへの直行便はありませんので、13時間ほどで到着するパリやロンドンなど欧州都市で乗り継いでリスボンへ行きます。パリからリスボンまでの所要時間は2.5-3時間ほどです。乗り継便の接続はあまりよくなさそうで、乗り継ぎに3-5時間かかりますので20時間ほどの長旅になります。

 ロンドン、パリなどでの乗継の際、東京ーロンドン、ロンドンーリスボンなど2区間の航空券を乗り継ぎで購入しておくとスーツケースはリスボンで受け取れます。2区間の航空券を別々に購入すると乗り継ぐ空港で一度入国、スーツケース受け取り、再度出国手続きになることがあり、面倒で時間を要するので注意が必要です。日本で搭乗チェックインする際に、スーツケースがスルーでリスボンへ行くかどうか確認することをお勧めします。

 今回は、ロンドンのヒースロー空港で乗り継ぎました。ヒースロー空港での乗り継ぎは日本からの到着便とリスボン便のターミナルが異なることがほとんどと思います。乗り継便の搭乗券を持っている場合は、保安区域内で専用のターミナル間を接続する電車で移動できます。搭乗券なしの場合、一度出国、再度入国(逆も)の必要があり、ターミナル移動はロンドン市内と空港を結ぶ地下鉄やヒースローエクスプレスを使います。空港の地下鉄駅には、空港内移動の無料乗車券を発券する券売機がありますので、無料乗車券を入手してから乗車してください。

【入国ビザ】
 日本国のパスポートはビザが不要(観光90日以内)ですが、パスポートの有効期限残が3か月以上必要です。

 日本国以外のパスポートについては、下記のポルトガル大使館の情報を事前にチェックしてください。

http://embaixadadeportugal.jp/jp/

 また、入国ビザが必要な方は、ビザ申請に招聘状が必要と思いますので、WPMC2019の公式WEBをご覧になり必要な手続きをお願いします。

【通貨、時差、電圧】 
 通貨は、ユーロです。現在の為替レートは1ユーロ約125円です。WPMC2019開催時には夏時間が終了しているので、リスボンとの時差は9時間です。電圧は250V(二つ穴のCタイプ)です。

(上)ヒースロー空港でのターミナル移動は、地下鉄で。切符売り場にある無料乗車券発券機。
(下)空港ターミナル間移動にのみ使える乗車券(自動改札で必要です)。


WPMC2019開催会場、ホテルなど


【リスボン空港に到着したら会場あるいはホテルへは?】
 リスボン空港は、リスボン市街に非常に近く、会場であるISCTE-IULには至近距離でタクシーで5ユーロ程度です。また、今回実行委員会で予約してくれた、ISCTE-IULに比較的近いJupiter Lisboa Hotelへは、料金7ユーロ程度の距離です。日本からリスボンへ到着する便は、係員がいるタクシー乗り場から乗るタクシーでも法外な料金を請求されることも多いので十分注意してください。恥ずかしながら、私は深夜に到着し、タクシーでホテルまでで28ユーロ請求され、深夜でもあり特に不審にも思わず払ってしまいました。

 Jupiter Lisboa Hotelは、Welcome Receptionの会場予定で50室程度確保するとのことですが、ISTEC-IULまで徒歩で30分程度あります。徒歩10分程度の距離にもホテルはあるようです。

【WPMC2019開催場所 ISCTE-IUL】 
 WPMC2019の開催場所となる
ICSTE-IULへは、リスボン空港(ポルテラ空港)から南へ車で10分ほどです。開催会場も大学内の施設です。渡航の方法、ISCTE-IUL、会場、周囲の環境など、実際の渡航体験をもとに各項目別にご紹介します。11月の会期中の、ホテル情報などについてはWPMC2019の公式WEBサイトで、参加登録費等などの最新情報とともにアップされる予定ですのでご覧ください。

👈リスボン(ポルテラ)空港は市街地の北にあり会場であるISCTE-IULに至近距離です。

👈WPMC2019開催会場(ISCTE-IUL)
Jupiter Lisboa Hotel からISCTE-IULまで徒歩30分程度。
👈Welcome Reception会場予定のJupiter Lisboa Hotel。空港からJupiter Lisboa Hotel までタクシーで7~10ユーロ程度。ホテルの前には地下鉄の駅があり、コメルシオ広場まで1回乗換で15分程度。徒歩だと1時間程度かかります。
👈Award Banquet会場予定のレストランがあるコメルシオ広場。


ISCTE-IUL、itと開催会場


 ISCTE-IULは、Instituto Superior de Ciências do Trabalho e da Empresa-Instituto Universitário de Lisboaの略称で、英文だと、 Superior Institute of Business and Labour Sciences-Institute University of Lisbonとなります。 

 ISCTE-IULは1972年に設立された公立大学で(ポルトガル大学はすべて公立とのこと)、その戦略的目的は、革新、品質、国際化、そして起業家文化の発展としているそうです。ビジネススクールなど複数のスクールおよび研究所からなり、約9,000人の学生が学部課程(46%)および大学院課程(54%)、450人の教師および220人の非教職員が所属しており、国内で最もダイナミックで革新的な大学の1つとされています。また、ISCTE-IULにはエグゼクティブ教育に特化した研究所、すなわちINDEG-IUL ISCTE Execuive Educationもあります。  

 ISCTE-IULは、設立以来民間企業や公共および市民社会組織との複数のつながりを築くことに貢献してきている。 最も顕著な例の1つは、その管轄区域の分野で教育、大学院研究および研究および地域社会奉仕の分野で強力な公認の活動を採用しているマネジメント開発研究所INDEG (The Institute for Management Development )や、起業家育成とイノベーションを目的としたセンターであるAUDAXがある。 
 また、今回のWPMC2019は、it (Instituto de Telecomunicações )もホスト機関となっています。itは、非営利の電気通信分野の研究機関であり、以下の9つの研究機関と連携し国内および国際レベルで基礎研究と応用研究に積極的に関わると同時に、大学院生と大学院生を受け入れて高等教育を実施しています。

  • Aveiro, in the University Campus
  • Coimbra, at Site II of the University of Coimbra
  • Lisbon, at Instituto Superior Técnico
  • Porto, at the Faculty of Engineering and Faculty ofSciences of the University of Porto
  • Covilhã, at the University of Beira Interior
  • Leiria, at the Leiria Polytechnic
  • Lisbon, at ISCTE-Instituto Universitário de Lisboa

 itにおける主要な研究および教育活動は以下の分野にわたっています。

  • Wireless Communications
  • Optical Communications
  • Networks and Multimedia
  • Basic Sciences and Enabling Technologies

 今回のWPMC2019は、アカデミックからビジネスへの展開をテーマにしており最適な開催場所と言えそうです。

写真 上から
(1)ISCTE-IULのキャンパス風景。(2)正面の建物が会場。左手の建物がINDEG-IUL ISCTE Execuive Education。 

(3)会場となるフロア。アフリカ関連の会議開催中。(4)参加登録の受付となるカウンター。

(5)Opening Session会場となるメインホール。 (6)昼食会場。

(7)Awartd Banquetの会場となる予定のコメルシオ広場に面したレストラン。

(8)レストランの内部。2階は、ビール博物館になっている。

(9)Welcome Reception会場予定のJupiter Lisboa Hotel(右手白い建物)。

(10)街では、レンタルの電動スクータで観光する人を多く見かけました。


ポルトガルの歴史一口メモ


 ポルトガルは、欧州の中でも最も日本との友好関係が長い国で、カステラ、金平糖、かるた、合羽などポルトガルから伝えられたといわれる言葉も多く、日本人には非常に親しみのある国です。

 WPMC2019でリスボンを訪れる際、ちょっぴりポルトガルの歴史を頭に入れておくと一層興味がわくと思います。
 711年、イベリア半島に侵入したイスラム教徒は、8世紀初頭には現在のポルトガルおよびスペインのほぼ全域を征服している。異教徒に支配されたキリスト教徒は、北からイスラム教徒を排撃し領土を回復していき、ポルトガルは1249年に、スペインはグラナダ陥落により1492年に領土回復(レコンキスタ)を達成した。1492年は、コロンブスがアメリカ大陸を発見した年でもあるが、この時代は新たな富を求めて貿易航路を開拓した、いわゆる“大航海時代“である。

 ポルトガルでは、バスコ・ダ・ガマが喜望峰を回って1498年にインド南西部のカリカットに到達してインド航路を開拓し、ポルトガル海上帝国の礎を築いた。その後、新大陸のブラジルを植民地にし、莫大な富をポルトガルにもたらした。

 1543年には、ポルトガル人を乗せた中国船が種子島に漂着し,鉄砲(火縄銃)の技術が日本に伝わったことはよく知られている。また、その6年後には,ポルトガル国王の命でイエズス会宣教師フランシスコ・ザビエル(スペイン出身)が鹿児島に上陸し,日本にキリスト教を伝えたこともよく知られている。
 こうして大航海時代に隆盛を誇ったポルトガルだが,同じ時期に富を求めて新大陸に船を出したスペイン,英国,オランダなどとの植民地競争は次第に激しくなっていった。当時のポルトガル経済はブラジルなど植民地経営に大きく支えられていたが、莫大な富を国内産業に投資することを怠り、1755年には巨大地震によりリスボン市は壊滅するなど、ポルトガル経済は基礎体力を失い産業は空洞化して現在に至る「失われた250年」の長期衰退の道を歩むことになる。さらに、19世紀に入ると1822年のブラジルの独立や内政の混乱が続き,産業革命の出遅れも影響したこともあって国勢は次第に衰退していった。こうした流れのなかで,ポルトガルは1910年に共和制に移行するが,1933年にはエスタード・ノーヴォ(新国家)と呼ばれる独裁体制に転向。以後,第2次世界大戦をはさんで40年以上も独裁政治が続く。そして,ポルトガルの民主化が進むのは,1974年4月25日,左翼軍人らによる無血クーデター(カーネーション革命:リスボンの春)が成功してからある。この後、アンゴラ、モザンビークなどアフリカの植民地も独立し、「最後の植民地帝国」と呼ばれたポルトガルはついにすべての植民地を手放すことになった。


歴史の一口メモに関連する観光スポット


 ポルトガルの歴史一口メモで紹介したように、リスボンには大航海時代に船の往来を監視した「ベレンの塔」、バスコ・ダ・ガマなど大航海時代を切り開いた偉人たちの「発見のモニュメント」、安全な航海を祈願し巨万の富をつぎ込んで建てられた「ジェロニモス修道院」、巨大地震にも倒壊を免れ、当時のイスラム支配の影響を残す「アルファマ地区」、カーネーション革命で「4月25日橋」と改名された橋など、ポルトガルノの歴史にかかわる観光スポットが多くあります。